カルシウムが不足すると、骨からカルシウムを取り出して使います。

2023

04/14

Published

2023.04.14

カルシウム不足で起こる代表的なリスクは骨粗鬆症(こつそそうしょう)です。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　日本人は慢性的なカルシウム不足だと言われています。毎日200ｍｇ～300ｍｇ不足しているようです。

　　体内のカルシウムの99％は、骨に含まれていて、残りの1％が血液や細胞に存在しています。骨に含まれているカルシウムの主な働きは骨を丈夫にすることです。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　一方で1％の血液や細胞に含まれているカルシウムの働きは、筋肉の収縮やホルモン分泌、　脳からの神経伝導をコントロールするなど多岐にわたります。

　ところで、皆さんは、カルシウムパラドックスという言葉をお聞きになったことがあるでしょうか？

　カルシウムパラドックスとは、体内のカルシウムが不足したときに、血液、細胞中のカルシウム量が増加してしまう現象のことをいいます。

カルシウムパラドックスが起こる原因

　人体には、血中カルシウム濃度を一定に保つ仕組みが備わっています。血中カルシウム濃度が高いと余分なカルシウムは骨に取り込まれて貯蔵されます。

反対に食べ物から摂れるカルシウムが不足し、血中のカルシウム濃度が低くなってしまうと、　体はそれを補うために骨に貯蔵されたカルシウムを取り出して補給してしまいます。

　　カルシウムは、骨と血液を行き来することで体内濃度の維持をしています。

　カルシウムの出入りに関わっているのが、副甲状腺ホルモンです。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　副甲状腺ホルモンは、血中のカルシウム濃度が低下すると、自動的に分泌が盛んになります。通常は分泌させる、分泌を控えることを自動的にしているのですが、体内のカルシウムが極端に不足してしまうと、体は危機感を感じ、副甲状腺ホルモンの分泌を過剰にし、止まらなくなります。

　何故体は血液中のカルシウムを維持しようとするのかと言いますと、血中カルシウムが全身の筋肉の収縮に関わっているからです。

全身の筋肉とは、心臓を始めとする内臓も含まれます。心臓に重大なトラブルがあれば、生命維持が難しくなります。そのために血中カルシウム濃度を維持しようとするわけです。

カルシウムパラドックスによる健康問題 　

　●骨のカルシウムが減ってしまい、骨粗鬆症になる

　●高血圧や動脈硬化、心疾患の原因になる

骨から取り出された余分なカルシウムは、体の外に排出されにくく、血液や細胞の中にカルシウムが残ってしまいます。それが血管を狭める原因や血管を硬くする原因になります。

　●ホルモン分泌の障害が起きる

　　　　カルシウムパラドックスにより、膵臓への働きかけが悪くなると、インスリンの分泌障害を起こします。

　●筋肉の働きに影響が出る

　　　　カルシウムには、筋肉を収縮させる作用があります。血液中にカルシウムが増えすぎると、

筋肉の働きに異常が出て、痙攣や痺れ、手足の震えが起こります。

心臓にも大きな影響が出ます。

その他、血中のカルシウム濃度が高い状態が続いてしまいますと、アルツハイマー病、白内障、腎臓結石、白内障の原因になるといわれています。

　カルシウムパラドックスにの予防には、カルシウム不足を改善することが大切です。

カルシウムの補給といえば、すぐに牛乳などの乳製品を思い浮かべる方が多いと思います。　　　　　　

確かに、牛乳にはカルシウムがたくさん含まれていますが、吸収に良いマグネシウムがほとんど含まれていません。また、牛乳は酸性食品なので、骨からカルシウムを出して、体をアルカリ性にしようとします。それでは、骨のために摂っているカルシウムが骨から抜け出してしまい本末転倒ですね。そしてホルモン由来のガン（乳がん、子宮がん、前立腺がん）のリスクも高めてしまいます。